セイバーメトリクス(統計学的指標)を眺めていると、大竹耕太郎という投手は「いつ大炎上してもおかしくない」ように見えます。しかし現実は、涼しい顔で勝ち星を積み重ねる。この数字と現実のギャップこそが、大竹の真骨頂です。
📊 指標が示す「大竹=運だけ」説の根拠
データ重視の視点から見ると、大竹投手の数字は驚くほど「平凡以下」に見えてしまいます。
• ずば抜けた球威・奪三振率がない: 140km/h台の直球で空振りを取るタイプではない。
• 「被コンタクト率」の高さ: スイングした打者のバットにボールが当たる確率は、平均よりもかなり高い(=空振りが取れない)。
• フライを打たれる率が高い: 一般的には被本塁打のリスクが高いとされる「悪い数字」。
• BABIP(被インプレー打率)の低さ: 打たれた球が安打にならない確率が高く、指標上は「野手の正面を突く運がいい投手」に分類される。
⚠️ 結論:大竹は運ではない。指標が彼を捉えきれていない
大竹投手の凄さは、「当てさせているが、まともに振らせていない」という一点に尽きます。
• 「当たる」と「打つ」は別物:
• 被コンタクト率が高いのは、大竹が「当てさせている」から。
• 打者はバットに触れてはいるが、タイミングや芯を数ミリ外され、「自分のスイング」をさせてもらえていない。
• タイミングを支配する技術:
• 投球テンポ、フォームの「タメ」を毎投球変えることで、打者の脳内の時計を狂わせる。
• 140km/hが150km/hに見え、変化球が止まって見える「幻惑」の技術。
❓ 「納得のスイング」を測る指標は存在しない
今の野球界には、大竹の凄さを証明するための「道具」が足りません。
• 「フルスイング率」は測れない:
• スイングスピードや、結果として放たれた打球の速度&角度は測れるが、**「そもそも打者がどれだけ納得してフルスイングできたのか」**を測る公式な指標は存在しません。
• こすった打球は「必然」:
• 運よく野手の正面に飛んだのではない。大竹がタイミングを外し、打者に「こすらせた」結果、野手の正面に飛ぶ弱々しい打球になった。
• 指標の限界:
• 現代の指標は「結果」から逆算するが、大竹が奪っているのは「結果」の前の**「スイングの質」そのもの**。
話は逸れますが、石井大智投手も「奪三振率が前年より低下している!連続無失点も運がいいだけ!」と指標信仰者に言われていました。しかしインタビューで石井投手本人が「奪三振を狙ってボールになる変化球を投げ続けることはリスクを伴う。ゾーン内で打たせて取ることを意識している」と証言していました。プロ野球選手は指標の見栄えを良くする為にプレーしているのではないのです。指標はまだ野球の全てを捉えきれていないのが現状です。
💡 結論:だから野球は面白い
大竹耕太郎は、現代のデータ野球に対する「最高のアンチテーゼ」です。
• 実力不足ではない: 大竹が運だけで勝っているのではなく、「大竹の凄さを表す指標」を人類がまだ発明できていないだけ。
• 野球の深淵: 数値化できない「駆け引き」や「間」の中にこそ、野球の本質があることを彼は証明し続けている。
• 楽しみ方: データの裏側に潜む「打者の戸惑い」を想像しながら大竹の投球を見る。与えられたデータだけを見て批判するのではなく自分なりの見立てを考える。それこそが、野球観戦における最高の贅沢と言えるでしょう。

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